破綻



トラバース気味に歩いていたら、のっぺりとしたハゲに出た。
こんなハゲは、水晶はまず出ないから、そのまま横切る事にしたが
ハゲの中央付近まで歩いたところで、向こう岸は段差が大きく、登れなさそうに思えた。
それで仕方なく引き返す事にして後ろを向いた時、立っているポジションが
維持出来ない事に気が付いた。ちょっとずつ、ずり落ちる。
足場は、落ち葉や砂が斜面に停滞していただけらしい。
まずい・・・。
ハゲのへりにある木に飛びつこうかとしたが、失敗して体勢を崩したまま転落するのも危険と考え、
しかしだからといって、なす術も無く、程なく、すぐ上から流れて来た土砂に足元をすくわれた。
安全を確保して歩けていると、そんな自信が破綻した瞬間だった。

幸い、本当に幸いな事に、30メートルくらいを、怪我無く落ち切った。
写真は、その日に採集した水晶たち。 どれも小さい。

当然の事ながら、その後は、かなり尻込みをする様になった。
山梨県黒平産