一番長い物は



この産地は、ちょっとした偶然で知った。
開拓直後だったのだろう、小振りの水晶が斜面一面に散在していて、
拾うのが好きな私には、それこそ天国の様に思えた。
どうして、そんなに多く落ちているのかは分からないが、よっぽど立派な石がたくさん出て
小振りの石は見逃されたが、あるいは昔の自然崩落の名残であったのかも知れない。

ところで、ここで得た一番大きなこの石は、産地からの帰り道に
そこから少し離れた道の上で拾った。
見つけた時は、ほんと、ビックリ。 何で?と思った。
多分、先人のビニール袋から落ちた物だろう。
細くて尖った石は、容易に袋を突き破る。
ここの水晶は、ちょっとガタガタの錐面や柱面を持ち、儚さを感じる。
透明度は良いが照りの弱いのが玉に傷といった晶癖で、強い個性はないが、特徴はある。

そんな夢の様なポイントも今では、石英さえもほとんど見かけないほどの場所になり、
そのあまりの変わり様に驚かされる。
何も知らなければ、水晶が出た事さえ、分からないかも知れない。
ほんのひとときの儚い産地であった。

★山梨県水晶峠産