表面採集



70ミリを越えていて立て難いので、昔風の台を付けた。
透明度はあまり高くないが、四周に欠けは無く、草がチョロチョロとまばらに入っている。
まだまだ初心者だった頃に、表面採集で得た石。大きな石は、掘るよりも、拾って得た物の方が、確率を考えても数段多い。
全くもって不思議な話しだ。

この石は、掘り込まれたポイントの表土に含まれていた石だと思っている。多分間違いではあるまい。
深く掘り込む人は、表土はチェックしない。時間が足りなくなるからだ。
この頃の私は30センチ以上掘る事はなく、歩いて拾うのを第一としており、これもその成果だった。
ポイントは短期間で、驚く程に様子が変わっていったが、こんなに大きな水晶が落ちていた事は驚きであった。
周りに残されていた枝石から、これに準じた大きさの石が多く出たのだろうと推察された。
後になって、自分もしっかりと掘ってみれば良かったと、多少後悔した。

風化の激しいポイントでは、開拓される以前に風化堆積した表土に、水晶が多く含まれている場合があるようだ。
ベテランは、掘りこんで脈を探す。脈は視覚的に判別出来るから、採集の手応えを強く感じるし、良さそうな方向も分かる。
それに比べて表土には脈や晶洞の痕跡がない。だから、掘っても五里霧中と言った感じで、サプライズが全て。
表土は運試しの場で、ベテランの力がなかなか発揮出来ない。

最初の疑問に戻れば、大きな石は拾う方が多いというのは、風化時間がいかに長いかと言う事の証左なのかも知れない。
そもそも、深成岩たる花崗岩が地表に出ていることが、時間を如実に物語っていると思う。
★山梨県水晶峠産