ガマの兆候 2


しばらく叩いていると、タガネが「抜けた」感じがした。
ペグマを叩いた事がある人にだけ分かる、晶洞が開いた手応えである。
「抜けた」とは、タガネが晶洞の中に、突き抜けた瞬間であり、
「あっ」と声が出そうな一瞬である。
(ひょっとしたら、自分で気がついてないだけで、声が出ているのかも知れない)

このポイントは足場が悪いから、抜けた時にはひとまず、安全な場所で一息付く様にしていた。
この付近の晶洞は、採集者を決して裏切らない。
必ず何か入っているから、楽しみはゆっくりと味わいたいという思惑もある。