普通の穴


写真では、普通の穴である。
穴の中にも外にもペグマは見当たらず、何も知らなければ、これは全く出ないから
途中で諦めた堀場だと思うはずだが、そうではない事は、この穴を掘った人と
すぐ右に居た私しか知らない。
何とこれは、アクアマリンが出た直後の様子なのだ。
信じられないのは私も一緒である事は、「ベリル騒動」に記した通りである。

状況はこうだった。
右にいた私は、左に向かって、このポイント一番と思われる大きな晶洞を掘っていた。
(しかし、中身は大きめの長石がほとんどで、空洞ばかりが大きかった)
私に連れられて来た友人には、その晶洞の続きがある可能性が高いから
左上方からその晶洞に向けて掘る様に勧めた。
ところがその晶洞に辿りつく前に、友人はアクアマリンを掘り出した。
そこには特に晶洞といったものはなく、ペグマはちょっとだけ出ていたと言っていた。

人の話を色々と聞くと、ベリルの脈は、石英長石の脈とは少し離れた所に出来るらしい。
推測としては、ベリル成分はメインの晶洞から分離して、その上方に出来たのではないか。
私が拾ったベリルも、位置的にこの水平線上から出た可能性は十分にあった。

今ではこの穴の付近は、周り2メートル四方がしっかりと掘られて終了してしまっているが、
他には何も出て来なかったという話しで、
アクアマリンと呼べるものは、この時の一本だけだったようだ。