カエルの卵
山を歩いていて、堰堤があれば、必ずその中を覗いて見る。
これは、私の習性である。
面白い石があるだろうかと考えているわけではなく、何か生き物がいないかと期待するからだ。
堰堤の内側はかなり様子が変化する場所で、大雨が降ると土砂が大量に流れてきて、
以前にはあった灌木が、水中花の様になっている事もあるが
そんな場所でも、生き物たちは対応して、たくましく生き抜いている。
季節が春先であれば、このようなカエルの卵が見たくて、水の中を確認する。
子供の頃には、よくカエルを捕まえたり飼ったり、
あるいは冬眠させて、様子を観察したものだったが、
このときも、卵塊を手ですくって、その独特のぶよぶよとした感触を確かめた。
それは、カエル達と繋がるだけではなくて、自分の幼少期とも繋がれる、嬉しいひと時なのだ。
そんな子供の頃の楽しみは、年をとった今でも残っていて、人生を豊かにしてくれる。
紛れもなく、カエルは私の友達なのである。