看板
石を求めて山を歩いていると、ビックリする事が割と頻繁にあるが
そのほとんどは人の営みに由来する事である。
こんな所にという場所に堰堤を見出す事が、頻度としては一番多いが、
空き缶であったり、ペットボトルであったり、パンやお菓子の包装紙であったりもする。
人は、どこにでも入っているのだ。
割と山奥の、コルへと向かって行く切り通しのような所で、古い看板に出会った。
ここが地形的な危険地帯である事を知らせるもので、それがどんな危険なのか、全く不明のものであった。
昭和の2〜40年くらいに、山奥の部落の行き来で使われていたルートなのだろうと想像したが、
今ではきっと、石をやる人が1年に一度くらいしか歩かないだろう。
はるか昔の遺跡を見る心持ちであった。クマが歩いている様ではあったが。
関連して思い出すのは、石とは関係のない山を歩いていた時、
修行僧がこもったという山奥の、岩をくりぬいた観音様を過ぎて
そこから先は、ほとんど歩く人がいないといった感じの登山道を、興味半分で進んでいた時に
ここが JTB 推薦のハイキングルートであることを告げる、古い看板を見つけた事だ。
これには驚いた。昔にここを東京から来たツアー客が歩いていたらしい。
地図をみると、通り抜けられることは確かだが、この先に見るに値する地形や展望があるとは思えない。
そんな登山道に立っていた看板に、人の営みの複雑さというか、
なんというか不思議な気持ちを覚えたものだった。