採集紀行・青空の下で 

今日も寒い日に当ったようで、車の外気温度計はマイナスを表示している。
いくら晴天で風はなさそうと言っても、ちょっと辛い。
少し周りをドライブしたり新聞を読んで時間を過ごす。
10時を過ぎてようやく1度になっただけだが、何度になれば良いと言うのだろう? 
自分でも答えられないから、あるもの全部を着込んで森に向かう。

雪はまだ無いが、一日中陽が当たらないだろうという所は半分凍結をしているようで、
足裏には硬い感触が伝わってくるし、足掛かりも悪い。
それでも落葉しきった明るい森を、一人でのんびりゆっくりと歩いていると、幸せな気持ちが湧いてくる。
ただ、先日の熊との遭遇が、存在を認識するという以上の、具体的な想像を掻き立てて、私を不安にさせる。
もう冬眠に入っているのではと思える時期や気温であるのに、カラマツの落葉に認められる足跡が
人ではなくて熊の様に感じられるのは、単なる私の空想だろうか?
だが、視界が広い森は、夏よりもずっと安心感があり、時々立ち止まっては耳を澄ませて
周りの状況を確認すると、森の静寂が感じられて、それなりに良い時間が持てる。

今日は時々水晶を拾う辺りを適当に掘ってみようと考えて来たが、何か出てくる気配さえない。
石はどこから来るのかと、時々川や海で思う事があるが、それと何ら変わりはない。
石は高い所から下ってくるが、それが具体的にどこからなのかは分からない。

お弁当を食べてから地面に寝そべると、視線に沿って木々が寄ってきて、塔をなす。
公園でも出来るが、潅木に囲まれたところでやると、自分が雪吊りの中にいる様な気分になる。



再び歩き出す。
今日はハゲには出ないつもりであったのに、ふと、獣道がハゲを横断しているのを認めると、誘われる様にその道を辿る。
そして頭上の木々が切れる。

ああ、やっぱりハゲはいい。
広々としたこの青空はどうだろう!!

せっかく出たハゲなので少し観察すると、あれ、ペグマがある。
これは晶洞が有る様な気がする。
以前にこのハゲで、友人から美品をもらっているだけに、期待は大きい。
タガネの持ち合わせはなく、スコップだけで何とか開けると、中身は小さな電気石が数本だけ。
外れであったが、オプショナルツアーとして十分に楽しむと、時間になる。

斜めから差す日差しで足元まで明るい森を、ゆっくりと下山する。







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