採集紀行・青空の下で 



無性に知らない景色の中を歩きたくなって、道を選ぶ。
今日も雲が全くないようだ。
空はこの時期どおりの青さで心にしみてくる。
ただ、もう昔のように全てが入って来る訳ではない。
例えれば、昔は木一本ずつを認識出来ていたが、今は林の佇まいとして見ているようで、
とても解像度が悪くなってしまっている。
どうしようもない事だし、この先にあるものも分かっているからこそ、今ここにいる。

道は長い。上がったり時には下ったり、全体としては上がっているが、
それほどの勾配はないので、息が切れる訳ではなく、足が重たくなるだけである。
目的地についてお昼を食べて少しだけまわりの探査をして、また来た道を戻る。
そっくり同じ道ではあるものの、見る方向も時間も違うから、新鮮な気持ちで歩ける。
折れてほとんど枯れ掛かっている樹木から、季節外れの若葉が出ているのを目にする。
生き延びるために全力を出しているのだろう。
きっとこの冬には耐えられず死んでゆくだろうが、生き物の美しい姿で、 ちょっと感動する。
私も出来ることならば、こうありたいと強く思う。

車に戻る頃には日もかなり傾き、足はもうくたくたである。



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