採集紀行・青空の下で 


数日以内に産み落とされたものだろう  奥の方にも多く沈んでいる


里では確かに春になったと思える1日、山に入る。
山では花木の目覚めは遅く、空は冬と同じ様に地上ギリギリまで広がっているものの
やはり春だと感じられるのはなぜだろう。
森では野鳥の動きを多く感じる。まだ囀りは少ないものの、
つがいで飛ぶヒガラや、素早く移動する鳥を多く見かける。
水の少ない沢を渡って、カエルの卵塊が多く沈む水を湛えた堰堤を越えて、森の中に足を踏み入れる。
初めての沢はいつも緊張するが、反面、どんな場所なのかという好奇心と期待が膨らむ。

なるだけ沢筋に近い場所を歩いて、この上の山域の可能性を占うのが、最初の楽しみになる。
今日の沢は、石英や長石の密度はかなり濃い。これは期待が持てる。どんどんと登って行き、
予めの計画から、分かれを右に進むと、いよいよペグマが大量に落ちている。これは近いと直感して
沢ではなく斜面を登って行くと、なんとびっくり、大きな堀跡がある。その様子からして、
ベテランがここ一年以内に掘ったと思われる。ただ、結晶面のある石はなく、成果は微妙であろう。
そこを過ぎて歩いていくと、雲母の結晶が山肌に落ちている。これは掘らない手はない。
しかし、やってみると、脈が小さいらしく、成果は出ない。ここも深追いせず、先を行く。
いくつかのハゲやガレを見て回るが、ペグマは多いものの、結晶している石はほとんど無く、
ミニガマ1個に当たっただけで、出て来た水晶は8ミリ程度だ。

程よい所で昼食を摂り、更に登り詰めると、最終目標地のハゲにたどり着く。
収穫は何もないが、知らない山を歩いてクエストをクリア出来たのは、やっぱり嬉しいものだ。
周りは望み無しの雰囲気なので、寄り道しながらも降りて、最初の分かれを、今度は左に登ってみる。
しかし、苦労をした割には、これも目標地に着いただけで、第二ステージクリアと言ったところだろう。
もちろん、1日を計画通りに楽しんだから、採集品がなくても残念に思うこともない。
探査とは、そんなものだから。
後は、安全に下山するだけである。



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