採集紀行・青空の下で 


登ってはいけない見本の様な崖 中央にはミツバツツジが咲いている


新緑の季節を逃してしまわぬうちにと、山に入る。
足を運ぶ毎にアクセスルートが荒れていくようだが、これは多分逆で、
堰堤工事の為に開かれた森が、また元に戻っていくだけの事なのだろう。
薄曇りのせいか、野鳥のさえずりは多くはないが、それでも
ミソサザイから始まって、主要な声を聞き留める事は出来る。一番嬉しかったのはエゾムシクイで、
これは標高の高い山域に多い鳥のはずなのに、そういえば、以前に来た時にもやはり聞いた事を思い出す。
きっとこの辺りが好きなのだろう、この急斜面ばかりの一帯が。
下界ではすっかりと終わったミツバツツジはまだあちこちで咲いており、
標高ギリギリの石楠花は所々、九輪草はやっと咲き始め、レンゲツツジは
株によっては満開だったりつぼみだけだったりする。
森の中は新緑の爽やかな香りだけでなく、腐葉土の腐った匂いも交互に感じる。
草木だけでなく、微生物も活発に活動しているのだろう。

今日の目的ははっきりとしていて、以前にやり残したペグマの続きなのだが、
あの先の沢のこんな景色の場所と記憶しているのに、そこにすんなりと到達出来ないのは思わぬ誤算で、
昼食時にも依然として、たどりつけていない。ただ、
この近くでありそうな予感はあり、昼寝後にまた一度戻って入り直した沢を見てようやくホッとする。
しかしペグマの規模は、記憶とは全然違って小さくすぐに終わってしまい、小さな水晶付きの長石一個だけ。
それでも苦労してたどり着いた事への満足感はある。

折角だからとそのままトラバースをして隣の沢に足を踏み入れ、更には上の森の景色に、
地図上で気になっていた地形を思わせる気配があったので、そこまで登る事にする。
沢には風化の遅い崖が並んでおり、それは下でチェックするだけの手抜き探査。
熊の大きな糞を跨いで進んでようやく登り詰めると、地図を確認して写真を撮り、今日の成果とする。

このところ良い晶洞に当たらないのは、体力が落ちたからだろう。
体が辛くなると足元しか注意を払えないから、回りを見る余裕がなくなり、掘るにもすぐに疲れて止めてしまう。
まあ、それも仕方がない。掘らずに済む場所に行き会うのを待つだけだ。

下山後の夕方には青空が広がってきたので、眺望の開けた場所でゆっくりとくつろぐ。