採集紀行・青空の下で 

 

林道が開いたのに、すっかり出遅れてしまった。

トロッコ道を歩いていても、いつもは目にするシャクナゲの花が、今日は全く見当たらないから心配したが
道が荒川を目がけて下るようになって、ようやく目にする様になり、ホッとする。
同じ場所にミツバツツジも咲いているのがちょっと不思議で、ミツバツツジは春を告げる花、
シャクナゲは夏を告げる花というイメージがあるからだが、もっともこれは毎年のことだ。

山岳会が整備してくれた木橋を渡り、どんどんと森をゆく。
今日のポイントは、沢に尾根に針葉樹広葉樹と、色々な森を抜けて行くから、訪れるのが一番楽しい。
季節に応じて産地を選ぶのは、楽しみの一つであるが、今日は、シャクナゲ、九輪草がメインだ。
そして、色の濃いシャクナゲの蕾は、道中で一輪だけしかなく、今シーズンはもう見られないだろう。
九輪草は開花したばかりだが、咲いた先から鹿が食べてしまうので、花は株数に対して極端に少ない。

ポイントは数人しか人が訪れていない感じで、昔の掘場はどんどん笹に飲まれて、地形も平坦になっている。
昔はよそ見をして歩くと、突然穴に落ちて危ない目にあったものだが、今ではそんな心配もなくなっている。
そして、良いと思われていた場所も埋まり、そこを掘り返す体力もなくなっていれば、収穫も微々たるものとなる。
途中で場所替えをしたりして苦労をしたが、それでも一本、
小さいけれども、産地の特徴のよく出た石が手に入ったから、まあよしとしよう。



山では多くの野鳥が囀りの季節の真っ最中で、シジュウカラ、コガラ、コマドリ、メボソムシクイ、ルリビタキ、
エゾムシクイ、クロツグミ、ウグイス、ジュウイチ、カッコウ、アカハラ、ミソサザイは聴くことが出来る。
(コルリとホトトギスは、聴き逃したようだ)
特に、メボソムシクイはトロッコ道周辺に多くいるのに、今日、初めて鳴いている姿をみる。
そして、見た目はウグイスそっくりなこの鳥が、さえずりと地鳴きを交互に繰り返すことが初めて分かった。

歩くのに何回も休憩が必要になっているから、そうした折に、森をよく眺める。
相変わらずに、倒木が多く、ほとんどが、根本1メートルのあたりでポッキリといっている。
これは鹿の食害の影響であることは間違いないが、加えて、熊のマーキングもあると思う。
多くの大きな木の幹の表皮が一部分巻いているのは、熊の仕業であろう。
今日も数は少ないものの、立派なマーキングを一つ見た。
この木にとっては、辛い年になってしまったようだ。




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