ベリル騒動


数年前、ベリルがマイブームになった。
脈状の緑柱石を、同一ポイントで三つ拾ったからだ。
面白いのは、最初に拾ってから2年半後に2つ目、この日は夕方に立ち寄っただけだった。
そして一週間後の、本格的に掘りに出向いた日の朝に、3つ目。
こうなれば、ベリルの入った晶洞があると思うのは当然で、私はもうすっかり、もらった気分になった。
しかしながら、何日もかけて一生懸命やったにもかかわらず、ベリルはそれっきりだった。

ところが、事はそれで終わらなかった。
更に2年半ほど経って、友人を案内したところ、
彼は45分もしないうちに、正真正銘のアクアマリンを掘り出した・・・


あの時ほど驚いた事はない。
最初に拾ってから5年ほどを費やして、ようやく目標の石にたどり着いた事になるが、
あの様なマリンブルーの美しい透明の石が、この足元から出たとは、今もって夢のよう。
ただ、その日が曇りであった事だけが、残念でならない。
もしも快晴であったならば、全てが完璧だったはず。
出て来た石は、もっともっと青く輝いて見えたに違いない。

何はともあれ、この石は、そのベリル騒動の記念。



★★★★★山梨県甲府市 黒平