頭の最上部の透明部分には鋭錐石がいくつも入り、
その下には灰色や褐色の針の群れ、その右下に透明度のある部分、更にその下には
モスグリーン色の藻の様な内包物に、白い針が乱舞し、
基底部は肌色と褐色の中間色で完全に不透明である。
鋭錐石は頭部だけではなく、表面全体に多く認められ
下部にも黒い点として、砂の様に付いているのが写真でも分かる。
何層かに重なって多色の内包物が入るのは、この産地の特徴であるが、
プロポーションは産地の標準からは、やや外れた形をしていて、あまり先細りではない。
裏面の方が、他結晶の接触がなく、形が整ってはいるが、
内包物の密度が濃過ぎて、照りや透明度が低いので、色合いの美しいこちらを表としている。
飾って眺めるよりも、ルーペで中を覗き込む方が数段楽しめる石である。
かなり大きな結晶ではあるが、この石に付随する記憶がはとんど無いのは不思議だ。
時期がポイントの最盛期だったから
他の美しい石たちの記憶の中に埋没したのだろう。
★山梨県水晶峠産