紙袋
その紙袋は、所属するクラブの備品入れとして、長く愛用されていた。
私が加入するずっと前からだそうだが、長持ちしている理由は、随分と昔の物で、
耐久性を考えて作られてあるからであろう。観光地の案内が写真と共に印刷されて、表面をパリパリした
ビニールが覆っているという、とても懐かしい意匠のそれを初めて見た時から、私は好きになった。
子供時代に私もそんな紙袋を、大切に使っていた覚えがあった。
ある時、「五島」という文字が目に留まった。私も長く持ち歩いたにも関わらず、
それまでこれがどこの土地の物なのかを考えた事はなかった。
そして五島町と五島列島が、同じ所かも知れないと思った。
そうであれば、あるかもと、地図に書かれた島の名前を追っていくと、果たしてあった。
奈留島である。
水晶好きには、日本式双晶の産出地として有名であり、私も一枚持っている。
全く知ぬ土地の紙袋が、水晶を仲立ちとして、身近に感じる物になった。
☆長崎県五島市産