進むべき道


沢に沿って探査をしていると、沢が分かれることがよくある。
地図を手にしてはいるものの、自分の現在地を正しく判断出来ているとは限らないし、
そもそも、どちらに進めば成果が出そうかは、地図では判断出来ない。
沢の石を見たり、先の展開を予想しつつも、その時の気分で決める。

春の明るい山中で知らない沢を歩くのに、何にも代え難い喜びを感じるのは、
私だけではなくて、きっと全ての人であるはずだ。
石を求めて歩いているとはいえども、その目的は石にはない。
進むべき道は自分には分からないもの。
沢の石たちだけが知っており、いつも木々たちが見守ってくれている。
その中を歩める事が、喜びなのだと思う。