採集紀行・青空の下で

予想通りに寒い山を抜けて森を走っていく。
初めは霜かと思われたこの白い風景は、どうやら前夜の降雪のせいのようだ。
まずいなと思いながら先に向かうと、道路は凍結しているし、そのうちの一部は白くなっている。
夏タイヤの私は危険を感じて、時折車を止めて自分の足裏で路面をチェックするが、
予想に反して、馬鹿みたいには滑らない。そろそろと運転していくと
そのうちに標高が低くなったせいか日当たりの関係か、凍結もなくなる。
産地近くで再び車を止めて頭上を眺めると、わずかに青い空は見えるが、とても寒い。
車の温度計は2度を表示している。
盆地を走っていた時には、大菩薩の山々の上にはすっきりとした青空が広がっていたから
こっちもいずれは晴れるだろうと、しばらく新聞を読みながら待っていたが、
そのうちに何だか白いものが舞って来る。
どうもこれはダメそうだ。
たとえ寒くても、太陽が燦々と降り注ぐ日であれば、歩いてさえいればあまり寒さを感じないものだが、
これで、しかも少し風の出る予報とあっては、山に入る気分には到底なれない。
どこか温泉か、美術館にでも行こう。
山に入る事なく、道を引き返す。